〔説明 このリーフレットはA3横 カラー 両面 3つ折りです。
堺市発行の「災害後のこころの回復のために」というリーフレットです。 説明終わり〕

テキスト凡例
1 必要と思われる見出しを追加しました。見出しの前に◎をつけています。
2 テキスト化の際に加えた説明は〔 〕(山かっこ)で囲んでいます。
3 イラスト説明は【 】(墨付きかっこ)で囲んでいます。
4 便宜上表紙を1ページとし、6ページ構成でテキスト化しています。

1ページ
災害後のこころの回復のために。
災害を経験すると、私たちんのこころには変化が起こります。こころはどのように回復していくのでしょうか。

【イラスト】
泣きべそをかいたハート形の顔があります、色はピンク、額に絆創膏、口はへの字、涙が一滴。その顔の周りに次の6つの吹き出しがあります。
1.その時の光景が何度も思い浮かぶ
2.不安
3.何もしたくない
4.身内や大切な人を助けられなかった罪悪感
5.眠れない
6.イライラする
【イラスト終わり】

・こころも傷つき、けがをします
・こころの傷つきは、日常とかけ離れた出来事を体験した時の正常な反応です。
・体験後、2~3週間に上記のような変化がおこりやすいです

【イラスト】
・堺市市章 堺市SAKAISI 堺市こころの健康センター
【イラスト終わり】

2ページ
◎災害後のこころの変化
こころの変化の多くは、時間の経過とともに自然に回復していきます。反応の仕方や回復の仕方は人それぞれです。

【イラスト】
心の変化を折れ線グラフで表しています。水平線があり、左から右へ・時間・日・週・月・年の文字で時間の経過を示しています。
左端に、水平線から真上の矢印があり、積極的がんばり。水平線から真下の矢印には、消極的・落ち込み、と書かれています。即ち、水平線が平常心を表わしています。左側に水平線を中心とした縦長のひし形があり、その中に災害の文字、つまり災害発生、そのひし形の下点から、こころの変化の線が横に伸び、暫くして上にカーブする、数時間後水平線と交差し、さらに上に登って週の文字あたりをピークに下降線をたどり月の文字を過ぎたあたりで水平線と交差、さらに下降線を描き年の文字あたりには発生直後よりまだ下まで下降する。そこから徐々に上昇し、数年後に平常状態に戻っていく様子を表わしています。グラフの線に次のコメントが書かれている。発生直後には「現実感がない」、週の過ぎたあたりには「がんばりすぎてしまう」、数年後「元の生活を取り戻そうとする悩み」
引用:金吉晴編(2006)「心的トラウマの理解とケア第2版」じほう社。
【イラスト終わり】
   
茫然自失期(被災後、数時間から数日間)
・思考や感情が停止したよう。
・情報が少ない場合、不安が募る。
・落ち着かなかったり、動悸・息切れ・感情の乱れ。
・まれに、急性ストレス反応(ASD)※1。
※1急性ストレス反応(ASD)
一過性の過剰なストレス反応で、被災後の2日後から4週間後以内に見られることが特徴です。PTSDの3つの症状に加え、解離症状(記憶が途切れる・茫然として感情がわいてこない)があります。
ハネムーン期(被災後、数日後から数週間または数か月間)
・被災発生後の生活に適応しようと立ち向かい、周りの人と助けあって行動を行う。
・一方で過労が心身の不調として表面化し、不定愁訴・不安・抑うつなどの症状がでる。
幻滅期(被災後、数週間から年余)
・災害について集中的に報道されない時期になると、被災者は無力感、倦怠感にさいなまれることも。
・やり場のない怒りのために、喧嘩やトラブル。
・まれに、外傷後ストレス障害(PTSD)※2、うつ病、適応障害、アルコール依存症などを引き起こす。
※2外傷後ストレス障害(PTSD)
強い恐怖をもたらす体験をした後に以下の3つの症状が1か月以上続くことが特徴です。
~3つの症状~
「再体験」災害時の体験が、自分の意思と関係なく繰り返し思い出されたり、夢に見たりする。
「回避」災害時の体験を思い出すような場面を意識的に避ける。
「過覚醒」神経の興奮状態が続く。不眠、イライラ、怒りっぽくなるなど。

3ページ
◎心の回復に役立つこと
災害後のこころには、「安全・安心・安眠」をできるだけ早く確保することが大切です。
けがをしたこころのために
・生活リズム
「朝起きる」「食事をとる」など、日常生活のリズムを大切にしましょう。心の健康のためには、からだの健康が大切です。
・気分転換
時には気分転換も大切です。苦痛を抱えているだけでは回復しません。運動したり、音楽を聴いたり、どこかに出かけたりなど、楽しむことも忘れないようにしましょう。
・人との交流
苦痛を抱えていると、人との交流を避けたくなりがちですが、こころのひきこもりには気をつけてください。体験したことや気持ちを誰かに話して聞いてもらうと、こころとからだが楽になることがあります。
・相談
こころのけがは人それぞれです。あまりにつらかったり、長引くようならば、相談機関や医療機関を利用しましょう。
こころのけがが長引かないように
・飲酒やギャンブル
過度の飲酒やギャンブルによるうさ晴らしは、こころとからだの健康を損ねてしまいます。また寝酒は睡眠を浅く短くし、からだによりいっそうの負担がかかります。
「惨事ストレスへの対処の6か条」
1.“異常な事態に対する正常な反応”としてストレス反応を理解し、余裕をもって受けとめる。
2.家庭や職場における日常のペースを取り戻す。
3.気分のリフレッシュをはかる。
4.見守ってくれる家族や同僚・友人との絆を大事にする。
5.わかってくれそうな相手に体験したことを話す。
6.ストレス症状が強かったり、長引く場合は専門家に相談する。
参考および引用:飛鳥井望(2001)PTSDおよび惨事ストレスによる心的外傷後ストレス反応の理解「救急救命」4巻第2号

4ページ 
○身近な人のこころの回復のためにできること
どのような声かけをしたらいいのでしょうか。そっとしておくのがいいのでしょうか。
安心感をもって接し、じっくり話を聴くことが大切です。しかし、話したくない人や、話すには時期尚早のこともあります。声をかけないときも落ち着いて様子を見守り、そばにいるようにしましょう。どのような言葉かけが望ましいかは、相手との人間関係や、タイミングによって異なりますが、いくつか例を紹介します。
「参考にしたい言葉かけ」
・体験や気持ちを本当に理解できるわけではないが、理解しようと努めていること。例<その場に居合わせなかったけれど、お話を聞いて胸が痛みます>
・故人を失って、とても悲しく感じること。例 故人を思い出すと、私も悲しい気持ちになります。
・あなたのことを心配に思っていること。例<あなたのことが心配です。何か私にできることはないですか>
・体調を尋ねること。例<最近体調はどうですか?。眠れてますか?>
・悲しみ方には個人差があり、正解はないこと。例<出来事の受けとめ方や感情表現は人それぞれです。あなたが感じていることや感じ方は、悲しみの1つの表現なのですよ>
「控えたい言葉」
・相手の話をさえぎったり急がせること。例<時計を見る、早口でしゃべる>
・故人の死を妥当化するようなこと。例<彼(女)の寿命だったのでしょう>
・相手がしたことしなかったこと、感じていることについて価値判断をすること。例<そんなふうに思ってはいけませんよ>
・必ず乗り越えられると決めつけること。例<あなたには乗り越える力がありますよ>
・死別や故人についての話題を避けること。例<他の話をしましょう>
・無理に気分転換をすすめること。例<リラックスしないといけませんよ>
・時間が解決するということ。例<そのうち楽になりますよ>
・他人と比較すること。例<もっとひどい目にあってる人もいますよ>
・誰かについて否定すること。例<○○はおかしいですよね>
(独)国立精神神経医療研究センター精神保健研究所成人精神保健研究部 東日本大震災 被災地での心のケアチーム活動マニュアルVer.2 WHO版心理的応急処置現場の支援者ガイド(案)より一部改変。

5ページ

子どもへの配慮

【イラスト】
子どもの補助輪付自転車
【イラスト終わり】

外見は元気でも、子どもが受けるこころの衝撃は大人と比べ、大きいと言われています。衝撃を受けて起こるこころの変化は、身体症状、行動として現れる傾向があります。その変化が時間とともに回復していくまで、大人は落ち着いて見守りましょう。
「子どもによく見られるストレス反応」
・赤ちゃん返り。
・反抗的・粗暴な言動。
・ひとりになることを怖がる。
・頭痛などの体の不調。
・食欲が落ちる、もしくは食べ過ぎる。
・熟睡できない。・遊びや勉強に集中できない。
「心がけること」
・赤ちゃん返り、反抗等を叱らず、受けとめる。
・大人と一緒にいる時間を増やす。
・できるだけ食事や睡眠などの生活リズムを戻していく。
・出来事について、子どもにもわかるように説明する。
・無理に話させる必要はないが、子どもの言うことをしっかり聴く。
・“ごっこ遊び”を叱らないで冷静に見守る。(“ごっこ遊び”は、自分の中で沸き起こっているなんだかわからない不快な感情を表出する機会になっていることもあります)
※症状が長引いたり気になることがあれば、ためらわずに相談しましょう。
高齢者への配慮
環境の変化に適応できず体調を崩したり、不安や焦燥感、認知症を疑う症状が出現することがあります。一方で、外面的には症状が目立たないこともしばしばあります。頻繁に声をかけ、今の状況を分かりやすく説明してください。また、被災前の知り合いとの交流をできるだけ保てるような配慮も大切です。
「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)とは」
同じ姿勢で長時間過ごし、足の深部にある血のかたまりができ、この血のかたまりの一部が血流にのって肺に流れて肺の血管を閉塞してしまうことをいいます。足をのばすことができる姿勢を確保して足の運動をしたり、衣服などでからだを締めつけないようにしてください。また、トイレへの移動のしやすい環境を整えて、水分摂取をすすめましょう。もし、「発赤」「腫脹(むくみ)」「痛み」を感じたら、早急に医療スタッフに相談してください。
厚生労働省:「深部静脈血栓症/肺梗塞症の予防Q&A」より

【イラスト】
茶色の急須と、茶托にのったコップ、緑茶が入っている。
【イラスト終わり】

6ページ

◎相談機関
こころの電話相談(こころの健康センター)
こころの健康についての匿名での電話相談です。医療機関などの情報提供、対応への助言などを行っています。
電話番号 072-243-5500(専用回線)
相談日時 月~金曜日(祝・年末年始(12/29~1/3)除く)9:00~12:30、13:30~17:00
各区保健センター
こころの健康、こころの病気に関する相談に、各区にある保健センターで精神保健福祉相談員や保健師が応じています。
相談日時は月~金曜日(祝・年末年始(12/29~1/3)除く)9:00~17:30です。

【表 8箇所の保健センターがあり、縦列に左から、保健センター名、所在地、 電話・FAXの項目がある。】
・堺保健センター 〒590-0953 堺市堺区甲斐町東3-2-6(保健医療センター内)、℡238-0123(F)227-1593。
・ちぬが丘保健センター 〒590-0822 堺市堺区協和町3-128-4、℡241-6484(F)247-3201。
・中保健センター 〒599-8236 堺市中区深井沢町2470-7(中区役所内)、℡270-8100(F)270-8104。
・東保健センター 〒599-8112 堺市東区日置荘原寺町195-1(東区役所内)、℡287-8120(F)287-8130。
・西保健センター 〒593-8325 堺市西区鳳南町4-444-1(鳳保健文化センター内)、℡271-2012(F)273-3646。
・南保健センター 〒590-0141 堺市南区桃山台1-1-1(南区役所内)、℡293-1222(F)296-2822。
・北保健センター 〒591-8021 堺市北区新金岡町5-1-4(北区役所内)、℡258-6600(F)258-6614。
・美原保健センター 〒587-0002 堺市美原区黒山782-11、℡362-8681(F)362-8676。
【表終わり】

発行:堺市こころの健康センター 〒590-0808 堺市堺区旭ヶ丘中町4丁3番1号 健康福祉プラザ3階
TEL:(072)245-9192 FAX:(072)241-0005
http://www.city.sakai.lg.jp/kenko/kenko/hokencenter/kenkocenter/index.html
行政資料番号1-H1-12-0318 Aランク資材のみ使用